「稽古さえすれば、横綱も夢じゃない大器」
そこまで期待される「隠岐の海」。
だが残念ながら、彼は「無類の稽古嫌い」であった(笑)。
「稽古、大っ嫌いですもん!」
隠岐の海は、悪びれもせずに、そう言い切る。
「やらされてるような稽古はやりたくないんです。ストレスが溜まっちゃうんで」
そりゃ、もっともだ。だが、力士の言葉とは到底思えない。
そんな稽古嫌いの隠岐の海、今場所前、勢を相手にブッ続けの三番稽古をしていた。190cmの隠岐の海、195cmの勢。この巨体同士が泥だらけになって、ぶつかり合っていた。
だが、隠岐の海は、相も変わらず「熱があったから、ヤル気がなかったんですけどね」とユルユルであった。「師匠が止めないから、32番も取ったけど…」。
そんな素直すぎる隠岐の海に、師匠の八角親方も大いに嘆く。
「自覚が足りん…! あれじゃ普通のアンチャンだ…」
そのマイペースさが、吉と出たのか
「先の春場所では、全勝の横綱・白鳳を13日目まで単独で追い続け、11勝4敗の成績で2度目の敢闘賞を受賞した(Number誌)」
そして、「三役(小結)」への昇進。
隠岐の海は、島根県からは121年ぶりとなる新三役(新小結)となったのだった。
新三役の番付発表の記者会見
師匠は厳しかった。「両横綱より素質がない分、稽古で補わなければいけない。できてないけどな!」
ジロリと睨まれた隠岐の海、思わず「すいません…」とうなだれる。
それでも、隠岐の海はめげずに、夏場所の目標を語った。
「2ケタ。できないと思いますけど(笑)」
あくまでおどける隠岐の海。
そんな肝の太さで、「本番には強いタイプです」と胸を張る。
「横綱を目指すのは自由ですよね?」と隠岐の海。
先日(5月17日)、その目指す横綱(白鳳)との大一番。
解説席には、師匠の八角親方。
「負けると思います」
師匠はしゃーしゃーと言ってのける。
そして…、案の定
「落ち着き払った横綱・白鳳。必死に前に出ようとする隠岐の海を、叩き込んだ」
横綱・白鳳、盤石の相撲。
まだまだ格が違った隠岐の海。
ここまで、6連敗(0勝6敗)。
(了)
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ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2013年 5/23号 [雑誌]
「無類の稽古嫌い 新三役・隠岐の海のホンネ」
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