「相撲のチケットって、プロレスより安いんですね」
2,100円の当日券(自由席)や3,600円の椅子席には、「若い観客の姿」が多く見られた。
それは相撲協会によるTwitterやFacebookでの若年層へのアピールが、奏功したからだろうか? 初場所直前には「ちゃんこ鍋の無料配布」などのPRイベントなども開催されていた。
その初場所、「満員御礼」の垂れ幕が下がったのは、昨年の5度を上回る「6度」。
国技館の入場者数の一日平均は8,183人を数え、前年比300人増だった(Number誌)。
思えば、ここ数年、相撲界の「客離れ」は深刻だった。
朝青龍の電撃引退(2010)に始まり、数々の不祥事が明るみに出たことなどが原因で、相撲界はすっかり衰退していた。
それがここに来て、「人気復活の兆し」が見え始めている(昨年比35億円の増収)。
「一年の相撲界を占う」という初場所の見どころの一つは、先の九州場所で「不甲斐ない横綱デビュー(9勝6敗)」となってしまった日馬富士(はるまふじ)。
終わってみれば、日馬富士の全勝優勝。千秋楽を待たずして白鳳に2差をつけていた。
しかし、世間の話題をさらったのは、日馬富士の優勝ではなく、「昭和の大横綱・大鵬」の訃報であった(場所7日目)。
「巨人、大鵬、卵焼き」
あらゆるメディアは、判で押したように当時の流行語をその見出しに掲げていた。横綱・大鵬が引退したのは1971年、そして亡くなったのは72歳であった。
大鵬の現役時代を知るのは、50代以上の人だろう。
だから、「巨人、大鵬、卵焼き」と言われても、何のことやらピンとこない。
説明するならば、このコピーに並べられた3つは、昭和30年代から40年代にかけての「強い者の代表」であった。
川上監督の巨人は圧倒的な強さを誇り、大鵬は毎場所のように優勝していた。
しかし、オヤジたちの中には、「巨人嫌い・大鵬嫌い」も少なからずいた。
そうしたオヤジたちは、「大鵬なんて、ただ勝つだけじゃないか」「川上監督の野球は、勝つばかりで面白くない」などなど、ひねくれた見方ばかりをしていたものだ。
そんなひねくれたオヤジたちは、いつの時代にも存在する。
彼らは、初場所で日馬富士が全勝優勝しても、「横綱相撲とは言えず、余裕がない」と、あくまで辛口だ。
とはいえ、賛否両論であるほうが、相撲界は盛り上がる。そこに時代を知らず、相撲も知らない若者たちが参戦してくるのなら尚更だ。
「相撲とTwitter」
そんな水と油が、新しい流れを生み出すのかもしれない。
バラエティで活躍する力士たちも、ずいぶんと増えたものだ…。
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ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2013年 2/21号 [雑誌]
「明るい兆しの見えた初場所」
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