「代表で、誰の足が一番速いか?」
その問いに、コートジボワール代表は誰も迷わなかった。
「ジェルビーニョだ」
最速と認められたジェルビーニョは、白い歯をみせる。
「同時に『代表で一番ブサイク』の称号もちょうだいしたけど、それも嬉しい」
アジアレベルを遥かに超えたスプリント。
コッパ・イタリアの準々決勝では、イタリア代表そのものといえるユベントスの硬い守備を、このコートジボワール最速の男が切り裂いた。
——79分、空中でのボレーシュート。試合時間の99%を封じ込められても、ジェルビーニョには数秒で十分だった(Number誌)。
少年時代、ジェルビーニョはいつも裸足だった。
まともな靴など履いたことがなかった。
「うっかりガラスの欠片を踏んだときは、そりゃぁ痛かったさ」
初めてサッカー・スパイクを履いたのは、14歳のとき。
同国のサッカー養成機関、名門アカデミアの選抜テストを3回パスし、練習用スパイクを支給してもらった時だった。
靴をもらってからも、ジェルビーニョは裸足で砂の上を走り続けた。そうやって、自身最大の武器であるスピードにさらなる磨きをかけた。
この最速のアタッカーを抱えるコートジボワール代表。ジェルビーニョの速さを活かしたカウンターは凄まじい。彼の両脚がトップギアに入ったときは、誰も追いつけない。
長友佑都いわく「普通に走るのとドリブルのスピードが変わらない」
ジェルビーニョは痩せっぽちだ。
179cm、65kg
その細い身体に、アフリカの強さが詰まっている。
「国では内戦もあったし、両親も戦乱で死にそうになった」
軽快な体躯とは裏腹に、ジェルビーニョの言葉は重い。
「オレはそんな国の代表なんだ。W杯は全力を尽くすよ。われわれのグループリーグ突破はノルマだと思っている」
(了)
Number (ナンバー) コートジボワール戦速報 2014年 6/26号 [雑誌]
ソース:Number Web
ジェルビーニョ「コートジボワール最速の男」
関連記事:
3度目の正直 [コートジボワール]
移民に南北問題、そしてサッカー [ベルギー]
映画『ネクスト・ゴール』 [サッカー]
0 件のコメント:
コメントを投稿