2014年6月14日土曜日

裸足の男、ジェルビーニョ [コートジボワール]




「代表で、誰の足が一番速いか?」

その問いに、コートジボワール代表は誰も迷わなかった。

「ジェルビーニョだ」



最速と認められたジェルビーニョは、白い歯をみせる。

「同時に『代表で一番ブサイク』の称号もちょうだいしたけど、それも嬉しい」



アジアレベルを遥かに超えたスプリント。

コッパ・イタリアの準々決勝では、イタリア代表そのものといえるユベントスの硬い守備を、このコートジボワール最速の男が切り裂いた。

——79分、空中でのボレーシュート。試合時間の99%を封じ込められても、ジェルビーニョには数秒で十分だった(Number誌)。






少年時代、ジェルビーニョはいつも裸足だった。

まともな靴など履いたことがなかった。

「うっかりガラスの欠片を踏んだときは、そりゃぁ痛かったさ」



初めてサッカー・スパイクを履いたのは、14歳のとき。

同国のサッカー養成機関、名門アカデミアの選抜テストを3回パスし、練習用スパイクを支給してもらった時だった。

靴をもらってからも、ジェルビーニョは裸足で砂の上を走り続けた。そうやって、自身最大の武器であるスピードにさらなる磨きをかけた。



この最速のアタッカーを抱えるコートジボワール代表。ジェルビーニョの速さを活かしたカウンターは凄まじい。彼の両脚がトップギアに入ったときは、誰も追いつけない。

長友佑都いわく「普通に走るのとドリブルのスピードが変わらない」






ジェルビーニョは痩せっぽちだ。

179cm、65kg

その細い身体に、アフリカの強さが詰まっている。



「国では内戦もあったし、両親も戦乱で死にそうになった」

軽快な体躯とは裏腹に、ジェルビーニョの言葉は重い。

「オレはそんな国の代表なんだ。W杯は全力を尽くすよ。われわれのグループリーグ突破はノルマだと思っている」






(了)






Number (ナンバー) コートジボワール戦速報 2014年 6/26号 [雑誌]

ソース:Number Web
ジェルビーニョ「コートジボワール最速の男」



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