世界にあふれる日本人サッカー選手。
いまや彼らのニュースは、毎日の「天気予報」のようにお馴染みだ。
日本人選手を最も高く評価しているのが、ドイツ・ブンデスリーガ。
「やっぱり、カガワ(香川真司)の存在は大きいよね」と、「HS-WOCHE」の記者・ヨハンは語る。「彼の存在なくして、ドルトムントの優勝はなかったし、ブンデスリーガのクラブは、カガワみたいな選手を求めているんだ」
ヨハンが「カガワみたいな選手」というのは、体格は小さくとも「速いプレー」のできる選手のことだ。
「日本人って、相手選手の横をスリ抜けられるんだよね。体の使い方が上手いし、ボールの扱い方のセンスもいい。そんなことが出来るドイツ人選手は少ないからね」。そう評価するのは、「SPORTI」のシュミットである。
「体格的なハンデがあるからこそ、日本人選手が活きてくる」と分析するのは、日本人選手の移籍に数々関わってきた代理人・トーマス。「日本人選手は平均して10〜15cmほど、ドイツ人選手より背が低い。彼らは小さいけれど、テクニックがあるし、すばしっこい。ドイツ人から見たら本当に捕まえづらい存在なんだ」。
ドイツに日本人ブームを巻き起こした張本人・香川真司は今、イングランドのプレミアリーグ、その最高峰のマンチェスターUでも新たな風を起こし始めている。
当初、マンチェスターUが香川を獲得したのは、「グッズの売上増やスポンサー獲得などを狙ったのだろう」と揶揄する人々もいた。それも致し方ない。香川以前、プレミアリーグで期待通りの活躍をした日本人選手はいなかったのだから。「最も有名な日本人選手」という触れ込みでイングランドに来た中田英寿でさえ、21試合出場で1ゴールというのが最終成績だった。
しかし今、香川真司がイングランドにおける日本人選手のイメージを覆し始めている。香川はスター級の同僚たち(ルーニー、ファン・ペルシなど)からも高い評価を受けており、先発出場も果たしている。
香川をドイツから引っ張ってきたマンチェスターUのファーガソン監督も、「なぜこれまで、プレミアリーグで日本人選手が多くなかったのか、本当に理解できない」と言うほど、香川の獲得に満足気だ。
イングランドのプレミアリーグにおいて、稲本潤一や中田英寿らが「第一世代」とすれば、香川真司や吉田麻也らは「第二世代」。彼ら第二世代の登場により、アジア選手といえば韓国人というプレミアリーグの定説が覆りつつあるのだという。
吉田麻也という選手は、「日本人=小柄な選手」という印象をも覆そうとしている。
小柄な日本人選手では、センターバックというポジションは務まらない。センターバックに求められるのは「高さと強さ」である。その点、日本人離れした約190cmという長身を持つ吉田麻也は例外的だ。彼には高さも強さもある。
「10数年後を想像すれば、私の目にはW杯ベスト4の常連となった日本代表が見える」
そこまで日本を買っているのは、クラウディオ・パスクアリン(イタリア)。「半ば頭打ちのヨーロッパと、急激な成長を続ける日本サッカーの差が縮まるのは、当然の結果だろう」。
日本人選手に対する評価は、まさに日ごとに高まっている。「もはや世界の壁など、なきに等しい。仮にあるとしても、その高さはJリーグ発足時(20年前)の、20分の1(宮崎隆司)」。
パスクアリンに言わせれば、その差は「海抜1m程度に過ぎない」。
ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2012年 11/8号
「欧州の目利きが語る、ニッポン人の価値と可能性」
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