2人の「ダルビッシュ2世」
「なにわのダルビッシュ」が藤浪晋太郎(大阪桐蔭)、「みちのくのダルビッシュ」が大谷翔平(岩手・花巻東)。
高校生ながら、ともに190cmを越える長身投手。その容姿から、そう形容されている。
この東西ダルビッシュが激突したのが、センバツ開幕初日。
「ただでさえ熱くなっていたメディアは、組み合わせ抽選を経て、さらに熱を増した」
夢の対決は、なんと一回戦、しかも開幕日だったのであるから。
この東西ダルビッシュ対決は、2失点で完投した「なにわのダルビッシュ」、藤浪晋太郎に軍配が上がった。
藤波はこう振り返る。「マウンドに大谷くんが踏み出した足の跡が残っていて、その位置が僕とほとんど一緒でした。今までにはなかったことです」
大谷は「記念撮影で藤浪くんと並んだ時に、自分より高いなって。190cmになってからは、自分より大きい人はいないと思っていたのですが(笑)」
勝った藤浪は、そのままの勢いでチーム(大阪桐蔭)を初のセンバツ優勝に導く。
後半崩れがちな藤浪は「勝ち切れない投手」とレッテルを貼られていたものであるが、みちのくのダルビッシュとの対決で何かが変わったようだ。
負けた大谷は、160kmの豪速球を武器にアメリカ、メジャーリーグへの意欲を語った。
「野茂さんやダルビッシュさんがアメリカで結果を残して、日本人の目標のレベルが変わりました。自分も目標とされるように、世界レベルで活躍する選手になりたい」
一方の藤浪には、そこまでの野心はない。
「ただ、ダルビッシュさんが高校の時はメジャーに興味がないと言ってたみたいに、日本で野球を極めてしまうと、物足りなくなるのかなとは思います」
なにわのダルビッシュは、甲子園春夏連覇を果たし、高校球界の王道を駆け抜けた。
みちのくのダルビッシュは、最速160kmという途轍もない偉業を達成し、アメリカに目を向ける。
先人たちの切り拓いた道を今、若い力がますます押し広げようとしている。
ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2012年 10/25号
「あの一戦と僕らのこれから 大谷翔平・藤浪晋太郎」
0 件のコメント:
コメントを投稿