2013年6月18日火曜日

日本、完敗…。ブラジル戦 [サッカー]



「完敗です…」

さしもの本田圭佑も、そう認めざるを得ない敗戦だった。



2013コンフェデレーションズカップ

開幕戦 ブラジル vs 日本



試合は開始早々、ブラジルの新10番「ネイマール」が見せつけた。

前半3分、その美しいボレーシュートが、ゴール真正面から日本守備陣を切り裂いた。

ここ数ヶ月というもの、主砲ネイマールは鳴りを潜めていたのだが、この時とばかりに火を噴いたのだった(もう少し眠っていてほしかったのだが…)。







ブラジルの2点目は、後半3分、パウリーニョ。

DF(ディフェンダー)吉田麻也が「絶対に取られてはいけなかった」と試合後に語った失点だった。

前半同様、日本はその立ち上がりの出鼻をへし折られた格好になってしまう。



最後の3点目は、まさにダメ押し。

後半ロスタイム3分、その終了間際にオスカルが飛び出し、カウンター攻撃。

そこからキーパーと1対1になったのはジョー。トドメのシュートは、GK川島永嗣の股下を見事に抜いてみせた。



結果は「0-3」

日本の大量失点…

ファンの脳裏には、昨年10月の「0-4」と大敗したブラジル戦が、嫌な感じでフィードバックしてしまっていた。



「去年の10月に比べて、差は変わってない。むしろレベルの差は開いているかなと思います」

惨敗後、SB(サイドバック)長友佑都はそう語った。



「攻めの形」を一向につくれなかった日本。

「目立つのは、本田の遠目からもミドル・シュートくらで、前へ仕掛ける姿勢も薄く、精神的にもブラジルに優位に断たれていた(Number誌)」

ボール・ポゼッションは、ブラジル63・日本37、シュート数は14対10、枠内シュートは9対6。

日本代表ザッケローニ監督は、「今日は『いつもの日本』ではなかった」「50%くらいしかポテンシャルを出せていなかった」とコメント。



「日本らしさ」を出せなかった理由を、遠藤保仁はこう見ている。

「ボールをとる位置も低かったし、前も孤立していたところがあった。サイドバックが上がって来ながら、厚みのある攻撃を増やしていかないと」

本来、日本の目指すべき形は、「複数の選手が絡みあい、追い越しながら崩していく」というスタイル。守備陣である左右両方のSB(サイドバック)による、後方からの攻撃参加も求められる。







だが、右SBの内田篤人、左SBの長友佑都、ともに守備に追われてしまい、十分な攻撃参加を成し得なかった。

「内田は、ネイマールに完全に抜かれることこそなかったものの、仕掛けられる回数は多く、結果的に攻撃参加は限定された(Number誌)」

「長友にしても、対面のフッキの攻撃への対応が多く、攻撃参加の回数は普段より少なかった(同誌)」



長友佑都は試合後、「レベルが違いすぎた。中学生とプロのレベル」とその悔しさを語った。

一方、内田篤人はブラジルの新10番ネイマールに対して、好守備を見せていた。前半3分にワールドクラスの豪快はシュートを決められてからは、ネイマールが後半29分にピッチを去るまで内田はきっちりと彼を封じ込めていた。



「ネイマールは、逆をとるのが上手い」と、内田は前回の対戦で感じていた。

1対1で最も内田が意識したのは「先を読むこと」であった。フェイントか? スピードで来るのか? 縦か? 中か?

今回のブラジル戦、内田は「ボールよりもネイマールを見ていた」という。内田は「スッポン」のようにネイマールにベタ張りしていたのだ。



「ボールよりも彼を見ていたくらい。それほどの価値のある選手だからね」と内田。

ネイマールは、ブラジルの名門サントスからスペインの名門「バルセロナ」に移籍が決まったばかりの21歳。バルセロナによると移籍金は5700万ユーロ(約74億円)。誰もが疑う余地のない才能を持つ「ブラジルの至宝」である。

そのネイマールを、内田は前半に1点決められて以降、「ほとんど仕事をさせなかった」。



さすがのネイマールも、スッポンのごとき内田を「イヤがっている」ようにも見えた。

その問いに対して内田は、「嫌がってくれてればいいけどね。でもまぁ、ネイマールに聞いて『アイツ、大したことねぇ』と言われれば、別に大したことないけどね」と微笑んだ。







だが、源義経のように身軽なネイマールに張り付くあまり、確かに内田のタテ後方からの攻撃参加は犠牲となってしまった。

それは左後方の長友佑都も同様、弁慶のように厳(いか)ついフッキ相手に、思うように前線に出られなかった。

「サイドに縦への突破ができる選手を抱えない日本にとって、『サイドバックの攻撃参加と追い越し』は必要不可欠な要素である。それができなかったことは、攻撃の幅を限定することになった(Number誌)」



長友は語る。

「もう2戦、勝つしかないんで。正直、今日のようなサッカーをしていたんでは、次の試合も勝てないと思う。割り切って、前から行くサッカーもしていかないと厳しい」







イタリアのTV解説者も「日本はもっとやるものだと思っていた」と拍子抜けしていたブラジル戦。次の相手は、そのイタリアだ。イタリアは初戦、メキシコを撃破し、勢いに乗っている(悪童バロッテリが決めた!)。

よく言及される定説に、「初戦で黒星を喫したチームが、グループ・ステージを突破するのは難しい」というものがある。だが、コンフェデレーションズカップにおいては、初戦を落としたチームがグループ2位に滑り込んでいる例は散見される。

「1997年以降の6大会を振り返ると、1999年にサウジアラビアが、2003年にコロンビアが、2009年にアメリカが初戦黒星ながら、グループ・ステージ突破を果たしている(Number誌)」



すなわち、ブラジルに完敗した日本も、この先が潰えたわけではない。

他国チームは、日本をもっと上手いと思っている。ブラジルを相手にしても「0-3」と惨敗するようなチームではない、と。

「ザッケローニ監督率いる日本の強みが、テクニックにあるのは間違いない。試合前の練習などで見るボール回しは、かなりの高水準だ。ブラジルと比べてもさほど見劣りしない。ボール扱いは上手い。巧みだ(Number誌)」



ならば、なぜあっさり負けた?

たとえば、スペインは「上手いだけじゃない」。「フィジカル・コンタクト(身体の当たり)に強い」と言われる。シャビやイニエスタは「簡単に倒れない」。

「ひるがえって日本。ドリブルで敵陣へ突き進んだ本田圭佑や香川真司が、相手のコンタクト(当たり)にバランスを崩して倒れ込む。ブラジル戦で見られたシーンだ(Number誌)」



「すでに次の試合を考えている」とザッケローニ監督は、試合後にコメントしている。

内田篤人は「僕たちは招待されたわけじゃなく、アジアカップを勝って来てるわけなんで、もう少しいい戦いをしたいと思います」と語る。



そのイタリア戦は、6月20日(木)日本時間の朝7時キックオフ。

得失点差で大きく出遅れた日本は、このイタリアに勝てなければほぼグループ敗退が確実になってしまう。

日本は、「自分たちのサッカー」ができるのか?













(了)






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ソース:Number
「『これは本当の日本の姿じゃない』 なぜブラジル戦で完敗を喫したのか?」
「スペインのパスサッカーに思う、 日本代表の“強さ”なき“上手さ”」

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