2013年6月11日火曜日
「山縣亮太」と「桐生祥秀」。100m決戦
いつにない熱気に包まれた「陸上の日本選手権」
味の素スタジアムに訪れた1万7,000人の大観衆が見守るのは「男子100m決勝」
「日本人初の9秒台」のかかる一戦である。
「山縣亮太(やまがた・りょうた)」慶応大学20歳
「桐生祥秀(きりゅう・よしひで)」洛南高校17歳
選手紹介の場内アナウンスに、大歓声が沸き起こる。
「4月の織田記念で高校3年生、17歳の桐生祥秀が『10秒01(日本歴代2位)』をマーク。以来、『9秒台』への期待は高まり続けている(Number誌)」
対する山縣亮太の自己ベストは「10秒07(日本歴代5位)」。桐生が一躍脚光を浴びた織田記念では、2位に終わっているものの、ロンドン五輪では準決勝進出を果たしている日本短距離界のエース。
両人への大歓声も、スタート前にはピタリとやみ
スタジアムは研ぎ澄まされた静寂に包まれる。
注目のスタートは
山縣がもっとも速く飛び出し、桐生が出遅れた(8人中6番目)。
その差は「0.021秒」
「一見、小さな数字のように思えるが、そうではなかった。好スタートを切ってその後もスムーズに加速した山縣に対して、桐生は後方から追う形になった(Number誌)」
50〜70m付近
「山縣さんが前に出ているのがわかって、『追いつけない』という気持ちになりました」と、レース後の桐生は語る。
それでも桐生は後半、山縣に追いすがった。
「山縣くんに前に行かれて心理的に動揺がある中、桐生くんは後半の走りで修正してみせました」と評価するのは、伊東浩司氏(日本陸連・男子短距離部長)。それが桐生の能力の高さだという。
だが、桐生の追い上げ敵わず
フィニッシュ・ラインを最初に切ったのは山縣亮太だった。
タイムは「10秒11」、2位桐生は「10秒25」。
「9秒台こそ出なかったものの、記録の達成には、そのスタジアムのトラックや風など、競技条件も関わってくる。それを考慮すれば『山縣の好走』が際立った決勝となった(Number誌)」
前回の織田記念では桐生に敗れた山縣亮太。今回はその雪辱を晴らしたことになる。
桐生に敗れた織田記念の後、山縣はこう口にしてきた。
「自分が先に9秒台を」
だが、負けた意識がなかなか払拭できない。どうして負けたのか? 思いを巡らした結果、山縣は「逆説的な結論」に至る。
「9秒台を意識すれば、タイムは出なくなる」
そして今回の日本選手権、山縣亮太はこう語っている。
「あえて(9秒台を)狙わないでいこうと思っていました」と。
対する桐生祥秀は、どうだったのか?
「まだ高校生。スタート前の仕草を見ていると、緊張していて場馴れしていないんですね」と、伊東浩司氏(前出)は指摘する。
桐生自身もレース後
「思い切りの良さがなくなってしまいました。メンタルで負けました」と語っている。
大舞台にあっては、ロンドン五輪も経験した山縣亮太に「一日の長」があったようである。
レースが終われば、2人は「LINE」をやりとりする仲だという。
陸連の規定により、山縣に加え桐生も2人そろって「世界選手権」の代表入りを果たした。
「一緒に強くなっていきたい仲間です。世界選手権でもお互いに励まし合おうと思っています」と山縣は語る。
レース後にガッチリと握手を交わし合った両雄。
「その光景は、明るい未来を予感させるものであった(Number誌)」
(了)
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ソース:Number Web
「100mの山縣vs.桐生だけじゃない! 充実の日本陸上陣、飛躍の夏へ」
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