2013年9月25日水曜日

名将グアルディオラと、師リージョ [サッカー]



"Quien solo sabe de fútbol, ni de fútbol sabe”

(サッカーしか知らぬ者は、サッカーすら知り得ない)

「哲学者」ともいわれる元サッカー監督リージョの言葉。



このリージョの愛弟子ともいえる人物が、FCバルセロナ(スペイン)で14ものタイトルを獲得した名監督グアルディオラ。彼はリージョのことを「キャリアで最も影響を受けた監督」と敬意を払う。

リージョもまた、愛弟子グアルディオラを「私の息子のようなものだ」と語る。リージョは自身が率いていたドラードス(メキシコ)に、現役選手だったグアルディオラを呼び寄せたことがあった。

”それほど両者のサッカー観は近かった(Number誌)”



「現役時代からペップ(グアルディオラ)は監督のようなものだった。普通の選手は現役引退後から監督になろうとするわけだが、彼にその必要はなかった。選手時代も監督になっても、周囲で起こる現象のすべてを把握していた」

そう語るリージョは、選手時代のグアルディオラを「史上最高のメディオ・セントロ(センターハーフ)」と賞する。

「そもそもサッカーには”攻撃”も”守備”も存在しない。それは一体化したものであるべきなんだ。ペップ(グアルディオラ)が率いていたバルサを見ていてもそうだ」








冒頭の言葉「サッカーしか知らぬ者は、サッカーすら知り得ない(Quien solo sabe de fútbol, ni de fútbol sabe)」

これはリージョがよく口にしたものだが、この点、グアルディオラは”本を読み、映画を見ては、演劇に足を運ぶ。現役時代からそうだった。思想や哲学など、人間としての深みまで突き詰めるところも、リージョと共通していた(Number誌)”

「語学を見てみるといい。ペップ(グアルディオラ)はバイエルンに行く前にドイツ語まで学んでいる。ニューヨークにいる1年の間に、だ。そこまでする監督がどれだけいるか? われわれ監督は選手に伝えなければならない。他国で指揮を執るとき、言語を学ぶということは重要なことなんだ」



少々説明すると、監督としてFCバルセロナ(スペイン)で大成功を収めたグアルディオラは、ニューヨークでの1年間の休養をへて、今季、ドイツのバイエルンの指揮を任されている。スペイン生まれのグアルディオラにとって、ドイツは水も言葉も異なるまったくの”他国”だ。

監督時代のリージョもまた、”他国”メキシコで指揮を執ったことがあったが、彼はメキシコ人選手らにこう言っていたという。「君たちがスペイン風に合わせる必要はない。私がメキシコに合わせる」。

「ペップ(グアルディオラ)は、まさにそんな仕事をしている」と、リージョは言う。








バイエルン(ドイツ)の選手・キルヒホフは、新監督グアルディオラのコミュニケーションを「短い話だったらドイツ語か英語、あるいはその両方を混ぜて話すんだ。チームに通訳は一切いないよ。わからない言葉あったら、スペイン語がわかる選手に聞いたりするんだ」と言う。

チームで一番スペイン語がわかるのは、ペルー代表FW(フォワード)のピサロ。スペイン語が母国語なうえ、ドイツで計13年もプレーしている。

そうした周囲の助けはあれど、スペイン語話者であるグアルディオラは、わずか1年で通訳なしで記者会見をこなせるレベルにまで、他国ドイツ語を習得していしまっていたのである。

オランダ代表選手であるロッベンは舌を巻く。「最初に会ったときに、彼(グアルディオラ)がドイツ語をペラペラ話していたことに驚かされた。これは簡単じゃないよ。オランダ語とドイツ語は似ているけど、スペイン語はまったく違うから」。ロッベン自身、まだオランダ訛りが消えていない。

「ペップ(グアルディオラ)のロッカールームのスピーチは、人を動かすパワーがある」と、スポーツ・ディレクターのザマーは賞賛している。



師リージョは言う。「新しいチームにいって、すぐに自分の色を出したがる監督は多い。しかしそれは間違っている。。クラブにはその国の、独自のサッカー文化や伝統があるんだ」。

ドイツ語に敬意を払うグアルディオラは、”スペインで大成功を収めた「バルサ・モデル」にまったく固執しておらず、すでに「バイエルンだからこそできるサッカー」に舵を取りはじめている(Number誌)”。



”バルセロナの監督時代、グアルディオラは欧州CL(チャンピオンズ・リーグ)で2度優勝し、カタルーニャ地方の「生きるレジェンド(伝説)」となった。しかし、ひとりの監督として、ひとりの人間として、まだまだ発展途上にあるのだ。決してバルサ時代が完成形ではない(Number誌)”

昨季、CL優勝を含め史上初の3冠を達成したバイエルンとて同様。昨季と同じことをやっていたら、対戦相手の対応が進んで苦戦することになる。

スポーツ・ディレクターのザマーは言う。「CLの決勝を思い出してほしい。前半は不安定だったし、ドイツ杯決勝も相手に冷や汗をかかされた。この2つの決勝において、バイエルンに安定性はなかった。もし昨季のやり方に囚われていたら、未来はなかった。私たちは今、変わるチャンスなんだ」。








スペインからやって来た新しい風、グアルディオラ。

そして彼もまた、まだまだ新しいサッカーを追い求めている。



「グアルディオラはバイエルンで成功するのか?」

この夏、サッカー界はこの話題で盛り上がった。



「ペップはドイツでも成功するよ」

リージョは遠くスペインから、それを見守る。






(了)






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ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2013年 10/3号 [雑誌]
「カリスマ指揮官の真髄 ジョゼップ・グアルディオラ」
「ペップがバイエルンで成功できる理由 ファン・マヌエル・リージョ」


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