「バルサの日本人、TAKEが6試合で21ゴール!」
こんな記事がバルセロナ(スペイン)の地元スポーツ紙に踊った。
「バルサ(バルセロナ)」と言えば、サッカー・クラブ世界一のチームとしてその名が轟いているが、日本人「TAKE」って誰? そもそも、バルサで活躍する日本人選手はいたか?
知らぬのも無理はない。「TAKE」というのはまだ「小学生」の少年「久保建英(くぼ・たけふさ)」君のこと。彼は名門バルセロナの下部組織カンテラに属する少年サッカー選手である。
「外国人のカンテラ入りは原則13歳とするバルサの門を、建英くんは10歳でくぐり抜け、現在2シーズン目」
日本生まれ日本育ちの建英くん、スペイン語がわからず、最初のシーズンは苦しんだ。しかも、ここはバルセロナ。独立心旺盛なこの地域には「カタルーニャ語」という地方言語が幅をきかせている(カタルーニャ州では公用語)。
「昨年8月末にコッチに来て3、4ヶ月はカタルーニャ語の理解度がまだ低かったため、言葉のニュアンスまでうまく汲み取れていないように感じました。チームメイトとの連携でもまだシックリいってない感じでした」
カンテラ入団のアテンド役を務めた浜田満氏は、一年前のことをそう振り返る。
それでも、川崎フロンターレU-10で磨いた建英くんの足は、ここバルセロナでも光った。
一年目の序盤は先発の機会も少ない中、29試合出場して43得点を挙げ、見事チームの「得点王」に輝いた。その足で、アレビンCからアレビンAへの昇格をもぎ取ったのだった。
「アレビンにTAKEあり」
地元のバルセロナ住民からも、この10歳の日本人は注目を浴びずにはいられなかった。
2年目の今季、第3節ではダブル・ハットトリック(6ゴール)を決めたことで益々この小さな日本人への関心は高まり、テレビ(バルサTV)で特集を組まれたり、新聞で取り上げたりとバルセロナのサッカー・ファンを大いに喜ばせた。
「ここ一年間で凄く伸びたように感じています。たとえばマークを外す動き、相手の死角にスッと入ってからゴールを奪うことができている。いくつかのゴールはメッシに似てますね」
「メッシ」といえば押しも押されるFCバルセロナのスーパースター。アテンド役の浜田氏は、さりげなく建英くんを未来のメッシにたとえている。
バルサのアルビンは、サッカー盛んなカタルーニャ州においても圧倒的な存在であり、1試合平均10点以上を叩き出すという強豪チーム。その中にあっても、現在の建英くんが得点トップだ(21ゴール)。
「生まれながらの得点者」とまで地元紙では讃えられている。
このチームからトップチームへの昇格も夢ではない。だが、アレビンAの13人のうち、プロデビューできるのはわずか1、2人ほどの「狭き門」。
小さなTAKEは、その門をくぐり抜けることができるのか?
ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2012年 12/6号
「バルサでゴールを量産する小学生 久保建英」
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