「ひとことで言うと、動けるデブ」
平尾博嗣が親しげにそう評するのは、「中村剛也(なかむら・たけや)」西武(102kg)。
「走らせても速い。もし体重100kg以上の人の運動会があったら、間違いなく一位ですよ」
今シーズン、「動けるデブ」中村は27本のホームランを打って、2年連続4度目の本塁打王となった。
「僕から見たら、サンペイ(中村のチーム内での愛称)は筋肉だけではなく、『余計な肉』も使って打っているように見える」
チームメイトの平尾が言うには、中村の「よけいな肉」までが、「人にはない飛距離」を生み出しているのだという。
「モンゴル人力士、特に白鳳に似ているように思うんだ」
中村の筋肉は「柔らかくて強い」。そこに幾分かの脂肪が含まれているからか、中村の筋肉には「しなやかさ」があるのだという。ウエイトとサプリでカチカチに固められた筋肉とは違うというのだ。
そして、意外なのが中村のスイングの「遅さ」である。
「ホームラン打者というと普通は速いスイング。松井秀喜さんみたいな。でも、サンペイ(中村)のスイングは遅い。少なくともスイングの速さで飛ばしているわけではないですね」
なぜ、中村は統一球に変わってからもホームランを量産できるのか。この問いに確たる答えはない。ただ、平尾が挙げたヒントは「よけいな肉」と「遅いスイング」であった。
走らせると速いが、スイングは遅いという中村。その豊富な肉の隅々まで活用する術(すべ)を充分に心得ているのかもしれない。
本当に「体重100kg以上の人の運動会」があったら、面白いのだが…。
ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2012年 11/8号
「中村剛也 破壊力コンビの知られざる実像」
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