京都大学、硬式野球部。
頭脳明晰であっても、スポーツの才能を持ち合わせているとは限らない。
関西学生リーグにおいて、京大野球部は万年「最下位」。東の東大が東京六大学リーグで「最弱」であるように…。
ところが今年5月、2009年から続いていたというリーグ戦60連敗のワースト記録がストップしたという。
その立役者となったのは…、甲子園の名伯楽「比屋根吉信」監督。1976年から11年間、沖縄・興南高校の監督として甲子園に6度も出場した輝かしい経歴をもつ。
その名伯楽が、いかなる秘策を京大生たちに授けたのか?
「こういったペーパーを部員たちに配ってるんですわ」
監督が見せてくれたプリントに書かれていたことは…、「ベンチでは大声を出す」、「強いゴロをしっかり捕球する」…?。なんと、小学生のリトルリーグで教えられるような初歩の初歩ばかりではないか…!
「強豪校の選手たちは、こんなことは子供の頃から何度も叩き込まれていますが、ウチの部員にはそれがない。でも、逆にいえば『真っ白な状態』。変なクセがついていない分、素直に吸収すれば伸びるのも早いんです」と名伯楽。
中途半端なヒネクレ者ならば一蹴してしまいそうな基本中の基本。しかし、京大生たちは「礎石の大切さを知る賢者たち」。謙虚な姿勢で名伯楽の教えを請うた彼らは、見事に連敗地獄からの脱出を果たしたのである。「実るほど、頭(こうべ)を垂れる…」。
連敗記録を止めたのは、投手・田中英祐選手の力投。関学相手に5安打完封である。こうした逸材が名伯楽の指南を受けた結果、今季の京大野球部は「白星献上校」から「ダークホース」へと変身を遂げたのだ。
「この子らには、日本のリーダーになる資質がある、と私は思っています」と名伯楽。
「京大野球部出身の総理大臣、夢がありますよねぇ〜」
なんとも前向きな名伯楽であった…。
出典:Sports Graphic Number 2012年 9/27号
「京大野球部 連敗を止めた秀才軍団の㊙練習法とは?」
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