2016年4月13日水曜日

エディー対策? ラグビー日本代表の女性スタッフ



川淵三郎、岩渕健輔の対話より



――(ラグビー日本代表の)成功の要因をどう分析されますか?


川淵三郎

「他の人とまったく視点が違うんだけれども、ぼくは女性スタッフの存在が一つのポイントになったんじゃないかと思っているんだ。監督の通訳に女性もいたでしょ?」

岩渕健輔

「はい、いました。五郎丸選手にキックのルーティンを教えたのも、荒木(香織)さんという女性のコーチです」







川淵三郎

「女性から言葉を伝えてもらえる効果は絶対にある。癒し効果というか、男所帯のストレスが緩和されるんだよね」

岩渕健輔

「おっしゃる通りです。女性の通訳をつけたのは、じつはエディー・ジョーンズ対策でした。彼は熱くなるので、ついつい行くところまで行ってしまう。でも女性の通訳をはさむと、一瞬、冷静に戻るんです。2015年の4月からは男性が通訳を務める形になりましたが、女性が彼のかたわらにいた効果は大きかったと思います」

川淵三郎

「つまり意図的に女性の通訳をつけた、と。それは賢いわ」







岩渕健輔

「だから荒木コーチも、生まれたばかりの小さなお子さんがいたんですが、チームの雰囲気づくりを考えて、わざわざイングランドにまで来てもらったんです」

川淵三郎

「巨大な歯車がきしみながら回っているところに、潤滑油をさす感じだね。ラグビー協会としてはできすぎだよ(笑)」







以下、生島淳「桜の真実 エディージャパン 知られざる闘い」最終回より





実は、W杯でメンタルコーチの荒木(香織)さんを呼ぼうとしたのは、このリーダーズ・グループ(リーチマイケル、畠山健介、堀江翔太、伊藤鐘史、五郎丸歩、立川理道)である。

堀江は話す。

「イングランドに入ってから、精神的にいちばん不安定だったのがエディーさんだったと思います。『緊張してはいけない』と言いつつ、緊張しているのはエディーさん、あなたでしょ、みたいな(笑)。その道(メンタル)のプロである荒木さんの意見にはエディーさんも耳を傾けるので、最後に落ち着いて準備できるように来ていただこうと」

リーダーズ・グループは真意を包んで、エディーにこう進言した。

「選手たちが落ちついて準備するためにも、荒木さんを呼んでくれませんか?」





面白いことに、男性と女性ではエディーに対する見方が少し変わる。

遠慮のない荒木は言う。

「女性からしたら、エディーさんって『すごくかわいい』んです。本当に勝ちたい、どうにかして選手を勝たせてあげたい、っていうそれだけの人です。だから、少々演技してるしね(笑)」






引用:

Number(ナンバー)891号 特集 日本ラグビー新世紀 桜の未来 (Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィック ナンバー))
川淵三郎、岩渕健輔「2019年のその先へ」

Number(ナンバー)896号 SUPER RUGBY 2016 スーパーラグビー開幕 (Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィック ナンバー))
生島淳「桜の真実 エディー・ジャパン知られざる闘い」



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