2016年4月18日月曜日

カリーの3Pシュート [バスケ]



「彼はバスケ界のスティーブ・ジョブズだ」

そう評されるのは

ステフィン・カリー
Stephen Curry





「ステフ・カリーは、この先のバスケットボールのあり方を変えた。歴史的なことだ」

それは、カリーのプレーがバスケットボールという競技を変えるほど、革新的だということだ(Number誌)


カリーの革新とは?

それは3P(ポイント)シュート



ダンクシュートだけで魅せる時代は終わった。

NBAの観客が3Pで総立ちになる時代がやってきた。

彼の手にボールが渡ってから、わずか0.3秒後、

ボールは美しい弧を描き、リングへと向かう(Number誌)


このカリーには、一瞬のスキさえ見せてはならない。

どんなに遠い距離からでも、かなり高い確率で3Pシュートを決めてしまうからだ。



対カリーの戦術に頭を悩ます、ロン・アダムズ(ウォリアーズのアシスタント・コーチ)は言う。

「3Pを打たせないような対策は、もう効かない。最近の彼は3Pと同じくらい、ドライブインの技術を向上させてきたからだ。今では、彼にボールを持たせないようにトラップするしかなくなってきた」






カリーの父、デル・カリーもまた、3Pシューターだった。NBAで16シーズンのあいだに、通算1,245本の3Pを決めている。

だが当時の3Pはまだ、「試合の中で、たまに打たれるシュート」にすぎなかった。1試合平均3本前後が打たれ、そのうち1本が決まるかどうかだった。


だが今は「3Pシューターが主役になれる時代」だ。

カリー自身が昨シーズンのリーグMVPに選ばれたことで、そのことを証明してみせた。

昨シーズン、カリーが打った3Pは1試合あたり8.1本で、そのうち3.6本を決めている。今シーズンはさらに増え、1試合あたり10.4本打って4.6本決めている(Number誌)


父デル・カリーは16シーズン、1,083試合をかけて通算1,245本の3Pを成功させた。だが息子カリーは7年目にして、すでに父の記録を抜いている。父の半分以下の427試合で、だ。

昨シーズン、カリーは通算286本の3Pを決め、自身のもつNBA記録を更新した。







試合開始1時間前

カリーがウォームアップのためにコートに出てくると、待ってましたとばかりにファンやメディアが群がってくる。


約15分間、黙々と、いつものドリブルを続けていく。ボールを2つ使い、足の間をくぐらせてのドリブルワークや、試合での状況を想定したシュート。ボールはカリーの意のままに動き、放たれたシュートは次々とネットを通過する。

派手なダンクシュートの1本もするわけでないのに、ドリブルやシュートだけで見世物になってしまうのだ(Number誌)


カリーは言う。

「僕がやるプレーは、ほとんどの人が『自分もできる』と思っているようなことなんだ。たとえば、アンドレ・イグダーラが決めるような豪快なダンクは、僕でも出来ないし、ほとんどの人が出来ないことだ。でもシュートすることは誰でも、その人なりのやり方で打つことができる。誰でも決められるわけではないけれど、『誰でも打つことはできる』んだ」



確かにカリーのプレーは、「やろうと思えばできそうなプレー」を別次元なほど高い完成度でやってのけるところに、その魅力がある。

カリーは言う。

「僕はリーグで誰よりも足が速くてスピードだけで相手を抜き去ることができるわけではないから、相手をあざむくように工夫し、スペースをつくりだす色々な方法を見つけなくてはいけないんだ。想像力と創造力をつかって『プレーが実際に起こる前に見極めること』が、僕にとってはとても大事なことなんだ」


カリーは、「誰でもできること」を究極まで突き詰めたことで、歴史を変えてしまったのだ(Number誌)







カリーは、カメラを一斉にむけられても、照明のまぶしさに惑わされないようにしているという。

カリーは言う。

「今を楽しむようにしている。と同時に『自分がどうやってここまで来たか』、ものの見方や考え方を忘れないようにもしている。『いつもの自分』のルーティンを守り、変えないことで、同じリズムをもちつづけるようにしているんだ」






「さ、行くぞ、チューバッカ」

試合後の囲み取材をおえたカリーは、スターウォーズのキャラ「チューバッカ」の形をしたバックパックをひょいと背負ってロッカールームを後にした。



最近のバスケ少年たちは、基礎練習もそっちのけで3Pシュートにいそしんでいるという。

カリーがあまりにも楽しそうに、軽々と3Pを決めるのを見ているからだ。


世の中の常識なんて、ちょっとしたことで180度かわってしまうものだ。

実際、カリー自身がそれを証明する存在でもある(Number誌)







True genius lies not in doing extraordinary thing 
but in doing ordinary things extraordinarily well.

Louis H. Wilson


真の天分とは、並外れたことをするのではなく、
普通のことを並外れてうまくする才能のことだ。

ルイス・H・ウィルソン






(了)






ソース;Number(ナンバー)894号 〝エディー後〟のジャパン。特集 日本ラグビー「再生」 (Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィック ナンバー))
ステフィン・カリー「大切なのは想像力と創造力」



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