開幕から19連勝、先シーズンから続く連勝街道は「23連勝」に(2013年9月6日現在)。
楽天「田中将大(たなか・まさひろ)」投手、通称「マー君(24歳)」。
かつてのプロ野球記録は、稲尾和久(西鉄)のもっていた20連勝。その大記録を田中将大投手は堂々更新中である。
勝ち数ばかりではなく、その内容も圧巻。
Number誌「今季初登板となったオリックス戦(4月2日)で、7回5安打1失点で勝ち投手となると、その後は42回連続無失点、6完投、2完封など『圧倒的な内容』で連勝記録を更新している」
思えば今季開幕前、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に日本代表として参加した田中投手であったが、「ボールへの対応などがうまくいかず、思うような投球ができないままに終わっていた」。
それが帰国すると一転、まるで別人のような快進撃を繰り広げているのである。
トータルの勝ち星や防御率、WHIP(1イニングあたり何人の走者を出したか)の数字は、リーグトップ(防御率1.15、WHIP 0.92)。
だが意外にも、三振をとる数は減り、四球が増えている。
Number誌「制球力の指標とされるK/BB(1四球に対する三振の比率)は6.00と、昨年の8.89を大きく下回り、1試合平均の四球は1.25と、昨年の0.99から増えている」
この不思議な現象、これが「今年の田中将大」の連勝の秘密だと人は言う。
実際に対戦したDeNAの中畑清監督は、その強さをこう語る。「悔しいけど、ピンチになると全くピッチングが変わってしまう」。
田中投手の通常の被打率が2割1分4厘(2.14)なのに対して、走者を得点圏に背負った時、つまりはピンチの時のそれは1割5分(1.50)にまで低下する。満塁時に至っては、13打数無安打と1本のヒットも許していないのだ。
Number誌「失点のピンチになると、スプリットを武器に三振を獲りにいき、実際に獲る」
そして、チームにも「点をやらない体勢」が整っている。
Number誌「チーム総失策数は46はリーグ最少。昨年はリーグ3位の79失策だったことを考えると、守る力は大幅に向上した。一塁に銀次、二塁に藤田一也、ショートに松井稼頭央、三塁にC.マギーと守備に『穴のない布陣』が揃っている」
失点もリーグ最少の1試合平均3.74である。
同時に「打線」も的確に援護する。
「田中が投げる試合は、打線も何とかしようと必死。その気持ちが結果にも結び付くようになった」と、星野仙一監督は語る。
7月26日のロッテ戦、田中の連勝が途切れる危機を、サヨナラ打で救ったのは「嶋基宏(しま・もとひろ)」だった。
捕手である嶋は、田中と名コンビ。2011年にも「田中・嶋コンビ」はパ・リーグの最優秀バッテリー賞を受賞している(18勝2敗、防御率0.98)。
「田中は今季、嶋のサインにほとんど首を振ることなく投げ続けている(Number誌)」
ある記者は、田中をこうからかった。「良い女房が2人もいると、良い結果が出るよね」
昨年3月、田中は(旧姓:里田)まい夫人と入籍。彼女は、スポーツ選手の食事をサポートする「ジュニア・アスリート・フードマイスター」の資格をもち、心身ともに田中の体調管理に尽くしている。
絶対エースがいるから、チームが熟成されたのか?
それともチームが熟成したから、エースが負けなくなったのか?
「ニワトリが先か? 卵が先か?」
田中将大の雄叫びは、マウンドに響く。
「将来はメジャーへ行きたい」と明言している彼は、プロ入り7年目にしてすでに、ダルビッシュ有(現・レンジャーズ)の勝ち星を超えている。
捕手・嶋基宏は言う、「明るい未来が待っている」。
(了)
「楽天・田中将大はなぜ連勝記録を更新できたのか?」
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