2012年10月30日火曜日
「オレが突き抜けなアカン」。本田圭佑(サッカー)
「なんか嬉しくて。サッカーやってて久しぶりに楽しい気持ちになれた」
日本代表のエース・本田圭佑は、0対4で惨敗したブラジルとの一戦をそう振り返った。
「こんなに楽しい試合は久しぶりやなっていうのが、今日の感想かな。下馬評どおり案の定負けて…。でも、なんか嬉しくなる気持ちわからへんかな?」
本田圭佑の野望は「ワールドカップ優勝」。それが彼の軸であり、ブレたことは一度もない。
ブラジル戦の前、フランスとやった日本は1対0で勝利した。その時、本田は逆に「物足りなさ」を感じていた。勝つには勝ったが、日本はフランスのスピードとパワーに圧倒され、防戦一方となっていたのだ。
片や、ブラジル戦は惨敗したものの、本田には「希望」の感じられるものだった。「自分が今まで見てきた日本代表の試合で、あれだけの内容でブラジルとやりあえるって、今までなかったからね」。
今、ヨーロッパのサッカー界において最強と言われるのは、クラブなら「バルセロナ」、代表なら「スペイン」。「狭いエリアでもショートパスを精密機械のように正確につなぎ、点を奪う」。しかし、本田の目にはそれは魅力的に映らない。「リスクを負わない」ため、無機質でつまらないというのだ。
それよりも本田は、ブラジルのような有機的なうまさに惹かれる。「純粋にうまいと思ったよね。さすがW杯の優勝回数が一番多い国やなっていうのは感じる。うち(CSKA・ロシア)の右サイドバックもブラジル人やけど、ブラジルの選手っていうのは、サッカーがうまいよね」
「個の技術」がズバ抜ける。それが本田にとっての理想であり、日本サッカーが目指すべき未来像とも彼は考えている。
本田が堂々と口にする「ワールドカップ優勝」という言葉。しかし、日本代表のチームメイトで本田ほど明確にその目標を堅持している選手は他にいない。
「全員がそうならないとね」と本田は言うものの、それは「どっちでもいい」とも思っている。自分一人でも、とにかくW杯で優勝するんだと思い極めている。
「オレはみんなを信じてるよ。もしそれでも、みんなが成長できないのであれば、オレがみんなの分まで成長すればいいなと思っている。みんなの分まで『オレが突き抜けたろ』と思ってる。みんなが成長できなかった場合、オレがそれを補うぐらいの、頼られる存在になればいいなと思ってる」
なんとも凄まじいまでの覚悟である。
「それをやるには、個人技よ。完全な。戦術とか、パスワークとか、コンビネーションとか、そういうことの問題じゃないくらい、『突き抜けなアカン』と思ってる」
日本代表のチームメイトが「W杯優勝」を心に思っても、口にしないのは、プレッシャーがかかるからだろうと、本田は言う。
「でも、そのプレッシャーはオレが背負うよ。オレは言い続ける。オレは自分の言ったことに責任を持っている。言った以上は絶対にそれを成し遂げようと思ってるから」
「ブラジル戦の収穫はホントに大きかった」と本田は言う。
「オレらよりベターだったのは間違いないし、そこを今の時期に再確認できたのが何より良かった」
そして、本田は断言する。「次はブラジルに勝つよ」
思えば2年前のW杯(南アフリカ)、日本代表がグループリーグ突破も難しいと言われる中で、本田は「W杯優勝」と言い続けていた。
そして現在、日本には「もしかしたら優勝を目指してもいいのかもしれない」というムードが生まれつつある。
「本田は自らの行動によって、世界の頂点との距離を着実に縮めている」
次のW杯まであと2年。
壮絶なるまでの覚悟をもった金狼は、日本を世界に突き抜けさせようとしている…。
ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2012年 11/8号
「本田圭佑 『W杯優勝の夢はぶれてない』」
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