2018年4月25日水曜日
豊田章男とイチロー
話:豊田章男
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じつは今年4月2日、トヨタ自動車の入社式で、イチロー選手から新入社員に向けて、こんなメッセージをいただきました。
イチロー「うまくいっていないチームほど、『自分に自信をもて。チームメイトを信頼しろ。やるべきことをやれ』と言います。
しかし、この3つをできている人はほとんどいません。
頑張っていないと自分に自信はもてない。頑張っているチームメイトを見ないと信頼はできない。やるべきことがわかっている人は、じつはほとんどいない。
みんなには、自信をもてる自分、チームメイトから信頼される人間、やるべきことが自分で見つけられる人であってほしいと願います」
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イチロー選手は、毎年バッティングフォームを変えるそうです。
たとえ前年に誰よりも多くヒットを打っていても変えてしまう。その結果成績が下がり、うまくいかないことがあったとしても「成長するために必要なステップだ」と捉えるのです。「後退も成長に向けた大切なステップだ」と考え、変化を恐れずに新しいことに挑戦しつづける姿勢。
これはトヨタが大切にしてきた「絶え間ない改善(Continuous Improvement)」という価値観と同じです。一足飛びにベストを追い求めると、そこで成長が止まってしまうかもしれない。ならば常にベターベターを追求する、絶え間なく改善をつづけることこそたいせつではないか。
また、失敗を恐れずチャレンジすることも、私たちが大切にしていることです。成功体験の積み重ねはどうしても「守り」に入る傾向を強めてしまいます。「ゼロ打数ゼロ安打ではなく、勇気をもってバッターボックスに立った人が評価される会社になろう」「空振りしてもナイススイングと声を掛け合える会社になろう」。
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会食のときに、イチロー選手が仰っていたある言葉が、自然と思い出されました。
イチロー「失敗とどう向き合うかが大切なんです。失敗の原因を第三者に向けるのではなく、自分に何が足りなかったかを問うべきだと思います。だから自分はバットやグラブの手入れを怠りません。失敗の原因を自分自身に向けるために」
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イチロー「変化を求めて失敗することもありますが、成長には後退も必要です。さまざまな回り道をして、遠回りに見える道が、じつは最も近道で味わい深いものであるような気がします」
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イチロー「ムダって大事ですからね。結果が出ていれば何も変える必要はないと考える人は多いと思いますが、じつはそうじゃない。その都度、信じてやったことが結果的に遠回りだったとしても、やっぱりそうだというところに戻ることは大きいと思います。
ムダを大事にして遠回りする人と、合理的に近道をする人の違いは大きいです」
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From:
Number(ナンバー)951号
ICIRO BACK TO MARINERS 2018
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