2013年10月6日日曜日

完敗から得たもの。本田圭佑 [サッカー]



欧州CL(チャンピオンズ・リーグ)2013

「バイエルン(ドイツ)」vs「CSKAモスクワ(ロシア)」



CSKAモスクワは日本代表の「本田圭佑(ほんだ・けいすけ)」の所属するクラブ。対するバイエルン(ドイツ)は前回王者。

”欧州王者相手に、本田はどう戦い、なにを得るのか?”

そう聞かれた本田は、フフッと笑って、試合前のロッカールームに戻っていった(Number誌)。






日本でガーナ戦を終え、CSKAモスクワに合流したばかりだった本田は、こう語っていた。

「もし俺らがCLで優勝できるようなチームだったら、バイエルンの隙っていうのを感じることができるんでしょう。でも、今のCSKAにギリギリで出来るほどの力はない。その中で、どういう風にアウェイで結果を出すのか…? 個人的には、あんまりキレイな考え方はしていない」



今のCSKAモスクワというチームは、昨季1シーズンをかけて本田がつくり上げてきたといっても過言ではない。昨季は本田移籍後、初のリーグ制覇を成し遂げている。

「その作り上げたチームのメンバーが、バイエルン戦に何人でるのかが重要ですよね」と本田。

残念ながら、ドゥンビア、エルム、ザゴエフの3人は怪我で欠場。新しい選手ばかりで戦わなければならない。難しい試合になるのは予測されたことだった。

「チャンスの数はきっと少ないんでね。その中でどれだけ質の高い攻撃を繰り広げられるか。あのバイエルンと対等にやり合えるのは、高さとパワーの部分なんでね」



頭のなかで「勝ち目の薄いゲーム」をシミュレーションする本田圭佑。

「なんかしらのスピリットを見せない限りは、失うものは大きいって思ってます」

鮮やかな金髪は、真剣な眼差しのままエレベーターに消えた。






9月17日

”そこで待っていたのは、想像以上に残酷な結果だった”

トップ下で出場した本田は、時おり粘り強いボールキープからカウンターの起点となったものの、結局、CSKAモスクワはバイエルンに「0対3」で完敗。



日本のメディアは、こう報じた。

「本田は中盤のパスさばきで健闘した」

それに本田は苦笑し、こう語る。

「結局、つなぎの場面でのボールさばきしかほとんどなかったからね…。FK(フリーキック)の場面がほとんどなかったりとか、自分ならここで勝負できるという場面でボールを受けるシチュエーションが少なすぎた。最初の失点で相手に余裕を与えてしまったよね。俺がバイタルエリアでボールを持っても、まったく彼らは慌てる様子を見せなかった」



それでも、彼は「とても晴れやかな表情」をしていた。

本田は言う。「得たものはいろいろあって。結局、ビビらずにいくっていうのが、僕はひとつの選択肢だと思っている」

そして、対戦したバイエルンが昨季とはまったく違うチームになっていたことに希望を見出していた。

「なんて言うんやろ、リベリーにバルサ色が入ってきているなとか。監督の力でこうもチームって色を変えていくんやなっていうのは、選手としてもまだまだ成長できるっていう希望を、すごく持たせてくれた」

ちなみに、バイエルンは王者ながらに飽くなき進化を求め、今季、グアルディオラという名監督を新たにスペインから迎えていた。






最後に、日本代表について聞かれた本田は、こう語った。

「日本代表は、CSKAとはまったく違うサッカー。日本代表なら、バイエルンと打ち合おうと思えば、打ち合えると思っている。下手したら3〜4失点するでしょうけど、2〜3点取れるクオリティが日本代表にはあると思ってますから」



ビッグクラブ・ACミランへの移籍が消滅した夏。

CSKAモスクワとの契約が切れるまで、あと3ヶ月。

頂点を見据える男は、ロシアからどこへ向かおうとしているのか…?













(了)






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ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2013年 10/17号 [雑誌]
「完敗から得たものはいろいろある 本田圭佑」


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