2014年5月28日水曜日

書籍『ベーブルースと大戦前夜』 [野球]




「バンザイ! 万歳! 万歳!」

銀座にあつまった数10万人の大歓声

アメリカのホームラン王『ベーブルース』の来日(1934)



大歓迎パレードにむかえられた大リーグ選抜チームは、北は函館から南は九州小倉まで、計16試合を転戦。

迎え撃ったのは、日本の職業野球チーム「大日本東京野球倶楽部」。

——ベーブルースは、少年たちに煙草の煙を吹きかけ、雨中の試合では傘を手にとり、と天性のショーマンぶりを発揮する。大リーガーたちは、ホテルのない地方都市での畳の部屋に戸惑う(Number誌)。







しかし時は、満州事変から日中戦争、ひいては日米開戦にいたる険悪な情勢。

——不穏な日本軍の動き。スパイのような活動をするモー・ハーグ捕手。行き詰まる日米交渉の打開のために、野球による友好促進に望みをかける駐日大使ジョセフ・グルー(Number誌)。



そんな機運のなか、正力松太郎は野球と新聞を結びつけ、世論の高揚をはかる。

すると激昂した右翼は、天皇の名を冠した明治神宮球場をアメリカ人の試合で汚したと、正力を国賊として襲撃。

ベーブルースは「万歳!」と熱狂的に出迎えられる一方で、「地獄に落ちろ!」と痛烈な罵声も浴びる。










ところで日米野球の結果は?

16試合を戦い、日本は全敗。

大敗後、「大日本東京野球倶楽部」は「巨人軍」となって日本のプロ野球の扉が開く。



今年(2014)は、それから80年。

すなわち、日本にプロ野球が誕生して80周年である。







(了)






ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2014年 6/5号 [雑誌]
「大スター来日がはらむ光と影」



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