2015年1月26日月曜日
ナダルの「魂」 [テニス]
ジュニア時代の錦織圭は、2006年全仏決勝前に、ラファエル・ナダルのヒッティング・パートナーを務めたことがある。その際、全球本気だったというナダル。あまりにもボールが重かったために、錦織は驚いたという。
杉山愛も驚いた。「ウォームアップの時から100%全力。それで疲れてしまわないの?っていうぐらい。強烈なフィジカルな強さですよ。あとスピンが凄い回転量で、頭の上に跳ねていってしまうぐらい」
その前年(2005)、ナダルは初出場にして全仏優勝という衝撃的なデビューを飾っていた。
―― 19歳の誕生日を迎えたばかりのナダルは、赤土に大の字になって幸福を噛みしめた。全力でボールを追い、渾身の力でボールを殴りつける。1球たりとも気を抜かない。ナダルは、一目見ただけで惹きつけられるプレースタイルで、我々の前に登場した(Number誌)。
若きナダルは言った。
「すべてのボールに対してファイトした。うまくいかないときもファイトして、どのゲームもファイトした」
たどたどしい英語だった。それが逆に、彼のスピリットを率直に伝えていた。その後、ナダルは全仏で9度の栄冠に輝いている。
「僕には才能がない」
ナダルはしばしば、そう言ってきた。
―― 彼は自分が不器用だと自覚している。だから反復練習で体に技術を染み込ませ、常に頭を使ってプレーする。トレードマークともいえる派手なガッツポーズとは裏腹に、できるだけ感情を封じ込める。本当の彼は、常に自分を律して戦う選手だ(Number誌)。
ナダルの自伝を読むと、「利き腕の左手小指を骨折したまま試合をして勝った」という記述がある。
幼い頃のコーチは叔父のトニ・ナダル。彼は、決して褒めるということをしないスパルタ教師だった。トニは「スポーツが理不尽であること」を、幼いラファ(ナダル)に教えたかったのだとか。
無事これ名馬
この言葉は、ナダルに当てはまらない。
「ケガは僕の代名詞だ」
ナダルがそう言うように、彼は大きなケガに何度も見舞われ、長期離脱を余儀なくされたことが少なくない。
ナダルは言う、「なにしろ限界ギリギリまでチャレンジして、勝利のためにすべてを犠牲にする覚悟でやっているから」
「ナダルが打ち出すボールには『魂』と書いてある」
ナダルのプレーに心打たれた植田実氏は、いみじくもそう言った。
―― 走って、拾って、思い切りトップスピンをかけて打ち返す。しつこく、かつ攻撃的に、冷静にファイトする。その積み重ね。必然的に体を酷使するが、仕方ない。そうしなければ勝てないと彼は知っている(Number誌)。
(了)
ソース:Number
ラファエル・ナダル「甦る、魂のファイト」
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