2012年12月5日水曜日

アメリカの大リーガーは「給料ドロボウ」?


かつてバスケットボール(NBA)の「マイケル・ジョーダン」は'96-'97年、年俸3,000万ドル(約24億円)という大台を記録した。そして、そのシーズンの活躍は、その破格の年俸に十分すぎるほどに「見合う」ものであった。

「ジョーダンはこのシーズン、得点王で、ファイナルMVPでもあった。そして何より、彼の属するブルズの人気を世界的なものにしたという功績もある」



さて、今度は現在のアメリカ大リーグ(野球)に目を転じてみよう。

10年前に年俸2,000万ドル(約16億円)を超える大リーガーは「アレックス・ロドリゲス(現ヤンキース)」ただ一人だった。それが今、「14人にまで増えている」。いまやアメリカ大リーグは「最高年俸が2,000万ドルを超える時代」に突入しているのだ。

それはアメリカ大リーグの収入の好調さに裏打ちされたものである。「インターネットの普及でチケットをずっと効率的に売れるようになったし、日本人選手の増加で、TV放映権収入やスポンサー収入も上がっている」。

そして何より、アメリカ大リーグには選手年俸の「サラリーキャップ(上限)」が存在しない。つまり、天井なしに年俸が高額化しうるということだ(一方、バスケットボールやアメリカン・フットボールでは、選手年俸に当てるパーセンテージが労使協定で定められている)。



ここでの問題は、はたして高学年棒の選手が「その額に見合うだけの活躍」をできているかどうか、である。

結論から先に言えば、残念ながら今季のアメリカ大リーグにおいて、年俸2,000万ドル(約16億円)超の14人の選手のうちの8人が「給料ドロボウ」と呼ばれてしまっている(57%)。



今年の最高年俸3,000万ドル(約24億円)を記録した「アレックス・ロドリゲス(ヤンキース)」の成績はといえば「ごく平凡な大リーガーのそれ」に終わってしまった。

122試合出場で打率2割7分、18本塁打、57打点。「クリーンナップの打者として期待される打点は、アメリカ大リーグ全体で126番目の成績に過ぎなかった。強打者の総合的な指標であるOPS(出塁率+長打率)も68番目(.783)」。

14人の年俸2,000万ドル超の選手の中には、「平均的な大リーガーの成績にさえ達していない選手」も見受けられる。かのマイケル・ジョーダン(バスケ)の大活躍とは、雲泥の差と言わざるを得ないだろう。



それでもアメリカ大リーグ選手の年俸が上がり続けている。それはひとえに「チケット価格を上げても売れる状況が続いているから」である。

しかし、冷静に高額年棒選手の成績表を見つめてしまえば、ファンたちはきっとこう思うことだろう。

「もっとチケット料金を安くしてくれよ…」





ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2012年 12/6号
「8人の給料泥棒」

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