2012年12月11日火曜日

渋き野獣「フェレール(テニス)」。生まれた時代が悪かった…


「地味な名プレーヤー」

それが「ダビド・フェレール(テニス)」。

「彼が今季最も活躍した選手の一人であることを知っているのは、よほどのテニス通だろう」

それでも今季、男子ツアーで最多の7大会に優勝しているのは、ほかならぬ彼なのである。



「生まれてきた時代が悪かったというべきなのか…」

フェレールの知名度がその実力よりも過小なのは、「男子プロテニス界の『ビッグ4』に頭を押さえつけられているから」に他ならない。「ビッグ4」というのは、ジョコビッチ(世界ランク1位)、フェデラー(同2位)、マリー(同3位)、ナダル(同4位)の錚々たる4選手のことである。



そのため、30歳のフェレールは「過去2年間のほとんどを世界ランク5位か6位で過ごしてきた(現在5位)」。

フェデラーに通算0勝14敗と、ビッグ4の壁は恐ろしく高い。今季の7度の優勝も「ビッグ4との直接対決」は一つもなかった。

フェレールにはグランドスラム大会(四大大会)での優勝経験もない。必ず、ビッグ4の壁に阻まれてしまうからだ(最高ベスト4)。



「サインを頼めば小さな字でチンマリと書き、英語の会見では小声でボソボソ話す」

普段のフェレールはそんな「地味な男」であるが、テニスコートの上では「小さな野獣」と化す。

「175cmの小兵ながら、噛み付きそうな勢いで相手に向かっていく」



そんな通好みのフェレールを「理想型」と称えるのは日本の「錦織圭(にしごり・けい)」選手(世界ランク19位)。

最終セットまでもつれた時のフェレールは恐ろしく強い。その勝率は過去1年間94%と堂々のツアー1位(今季も14勝1敗)。また、「最初からトップギアで戦える選手」でもあるフェレールは、第1セットを奪った試合のほとんどをものにしてしまう(68勝3敗・ツアー3位)。

最初の勢い、そしてツアー屈指の「しぶとさ」、これは「まさに通好みの渋い選手」だ。



しかし、このフェレールにロンドン五輪で打ち勝った錦織圭はスゴイ。

「人間界最強」とも言われるフェレールを破ってベスト8入りを果たした錦織。

ぜひ錦織選手には今後とも、フェレールの影をもっともっと薄いものにしていただきたい(笑)。






ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2012年 12/20号
「今季最多の7大会優勝 地味でも凄い『小さな野獣』」

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