2012年12月21日金曜日

タイム計測、「誤差」とのせめぎあい。


第二次世界大戦前、陸上100m競技のタイムは「手動」で計測されていたという。

「手動だから当然、『誤差』が生じる」

その誤差をなくそうとしたのが「電動計測」であり、それは戦後初のオリンピックとなったロンドン大会(1948)から導入されたものである。



今から64年前の当時、電動計測とともに、1秒間で10コマ撮影できるカメラが用いられた(フォト・フィニッシュと呼ばれる特殊なカメラ)。

この写真判定の原理は今でも変わらない。しかし、そのシャッタースピードは格段に進化した。このわずか4年後には10倍(1秒間に100コマ)、そのまた4年後には100倍(1秒間に1,000コマ)にまで高速化。

今年のロンドン五輪では、1秒間に2,000コマの撮影が可能となっている。つまり、人類最速は「2,000分の1秒」という正確さで写真記録できるようになったのである。



写真判定ではなくタイムだけの計測となれば、もっともっと精密である。

機械式からクォーツ(水晶時計)、そしてクアンタム(量子)タイマーへと精度を増していき、今年の大会は「100万分の1秒単位」で計測された。



「スタートからゴールまで、わずか9秒の間に起こりうる誤差を『限りなくゼロ』に近づける」

そのためには、タイム計測ばかりでなく、スタート時のピストル音にまでこだわらなければならない。なぜなら、音が空気中を伝達するのにも時間がかかる。具体的には「8コースの走者にピストル自体の破裂音が届くのに、『0.03秒』かかる」。

だから、今はもうピストル自体が音を発することはなくなっている。「今年の最新のバージョンでは、各コースのスターティング・ブロックの後ろに『スピーカー』が設置された」。これで、どのコースの選手にもほぼ同時にスタート音が届くようになったのである。



また、スターティング・ブロック自体が、選手のフライングを感知する。

ルール上、号砲後10分の1秒以内の反応がフライングとなるが、「計器自体は1000分の1秒単位で、ブロックにかかる圧力を感知している」



「正確にタイムを測る」

誤差を限りなくゼロに近づけるためのIC技術の進化により、現在のレース計時は飛躍的に向上している。

それでも、「正確に」ということに限界はない…。





ソース:Number
「人類最速は2,000分の1秒単位で記録される」

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