2012年10月22日月曜日

「腕」を使うサッカー。ストーク・シティの人間発射台


「あんなのラグビーだ」

いや、それはサッカーだ。ただ他のチームより少々「腕」を使うだけで…。

サッカーで腕を使えるのは、なにもキーパーばかりではない。全選手が腕を使える…、そう、それが「スローイン」である。



そのチームは、イングランド・プレミアリーグ「ストーク・シティ」。

「腕」に覚えのある背番号24番「ロリー・デラップ」は、「50点近くをスローインから演出している」。

オフサイドの適用されないスローインは、強豪チームの「ハイテク防御」を、これでもかと「原始的なパニック」に陥れるのだ。



英国のジャーナリズムは、このデラップを「人間発射台」と呼ぶ。

彼のスローインの飛距離は38m。もっと遠くへ投げる選手はいるが、上へ弧を描いてしまうため、守りやすくなってしまう。ところが、デラップのスローインは「低空飛行」で遠くへ伸びるロングスロー。チャンスを生み出すライナー性のスローインなのだ。

「助走は4歩、リリース時の角度は20度。バックスピンをかけることで、ボールはフラットな角度をしばらく保つ(ガーディアン紙)」





ストーク・シティというチームは、バルセロナやマンチェスターUなどの華やかなチームとは「対照的」に、鉱山の泥臭さを醸し出す。「鉱山に食い込む鉄杭、ワインでなくビール。それがストークだ」。

そのストークを率いるのは指導歴20年、鋼鉄の将「トニー・ピューリス」。フルマラソンも走り切れば、悪天候のキリマンジャロへの登頂も果たす。

「勝てばブリリアント。もし、負けても世界が終わるわけではない」

彼がそう言うのなら、そうである。彼の心の中は、いつも「百戦百勝」だ。



「持たざる者が、持てる者を倒す」。

それがストーク・シティの醍醐味。「それも独自の方法で、だ」。

人間発射台の放つ脅威のロングスローは、持てる者たちを弄ぶ。これが「貧富の差を最短で埋める攻撃法」なのである。



しかし、このところ、人間発射台・デロップの出場機会は限られている。

「肩を壊している」というのだ。サッカー選手だというのに…。

それでも心配ご無用。すでに後継の人間発射台が「文句なしのスローイン」を放ち始めている。24歳の新鋭、ライアン・ショットは「デラップ・マークⅡ」としてその威力を発揮し始めているのである。



「あれもこれも許される人など世にマレだ。

 みんな、そうやって生きている。

 ストーク・シティのように…」





ソース:Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2012年 10/25号
「ロングスロー万歳! ストーク・シティ」

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