2015年2月2日月曜日
「どうするか」ではなく「どうしないか」 [権藤博]
元・横浜ベイスターズの監督、権藤博(ごんどう・ひろし)は当時四番だったローズに、こう言われたことを今も覚えているという。
「このチームは誰が監督をやっても優勝できる。ただし、監督が何もやらなかったから優勝できたんだ」
1998年、権藤博は横浜監督として日本一になった。
権藤は語る。
「当時のチームは、私が何かいう必要がなかった。キャンプでの練習時間は短かったのですが、練習開始前には主力選手たちがランニングを終えている。全体練習後も、それぞれが自主トレに向う。私はその姿をホテルの窓から見ていました。もし、誰も自主的に練習をしないようなら、『同じ練習をやっとったんじゃ、ジャイアンツには勝てやせんぞ!』と言うつもりだったんですけどね(笑)」
権藤は続ける。
「野球をやるのは選手です。そこを履き違えてはいけない。監督というのはどうしても、自分が思った通りの野球をしようとして、結果的に選手の邪魔をしてしまう。監督が仕向けなくても、プロの選手たちはやるんです。だからこそ監督は、『どうするか』ではなく『どうしないか』を考えないといけない。とくに戦力が整っているチームの監督ならば、なおさらです」
その権藤が「何もしない監督」として挙げるのは、ソフトバンクの前監督、秋山幸二。
「彼は現役時代センターでしたが、監督になっても”センター目線”を変えなかった。最後方からジーッと全体を見渡しながら、どんなに拮抗した試合展開でも、落ち着いた表情を保っている。その姿勢を貫くことで日本一のチームをつくり上げましたし、あれだけ監督がどっしりしているから、選手も働けるんです」
ソース:Number(ナンバー)867号 Face of 2014 写真で振り返る2014年総集編 (Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィックナンバー))
Number Opinion「ずば抜けた戦力を抱える中で、”何もしない監督”になれるか」権藤博
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