2015年4月28日火曜日
「僕を導いているのは努力だけだ」 [C.ロナウド]
クリスティアーノ・ロナウド
Cristiano Ronaldo (Portugal)
彼はバロンドール授賞式の日、いつになく固い表情をしていた。
C. Ronaldo「毎年同じで、封筒を開いて受賞者の名前が呼ばれる瞬間が一番緊張する。ああ、正直に言うと、ちょっと不安だった」
バロンドール(Ballon D'or)とは、FIFA(国際サッカー連盟)の選出する最優秀選手賞。年間を通じて優れたパフォーマンスを見せた選手が選ばれる。ロナウドは過去2回、その栄光に輝いていた。
C. Ronaldo「僕は生来のオプティミスト(楽観的な人間)で、自分に自信をもっているタイプだけど、確信はまったくなかった。だから、もの凄くドキドキした」
去年(2013)、FIFAバロンドールを受賞したのはロナウドだった。トロフィーを受け取った瞬間、感に耐えて涙を流した。
そして今回(2014)、2年連続の受賞が決まると、ロナウドは ”雄叫び” をあげた。
C. Ronaldo「間違いなく勝利の雄叫びだった。ゴールを決めたり勝利が決まった瞬間に、僕らがチームでいつもやっている雄叫びだった。チームメイトと喜びを分かち合い、彼らとともに獲得したトロフィーであることを示したかったんだ」
ロナウドは昨季春ごろ、左ヒザに深刻な怪我を負った。ブラジルW杯も、その膝を抱えたままの出場となった(ポルトガル代表)。
C. Ronaldo「選手はそういう局面によく直面する。完治しきらないうちにプレーを再開せざるを得ないのは、宿命といっていい。僕らは毎日トレーニングをして、3日おきに試合に出なければならない。それを続けて関節が悲鳴をあげていた。それをそのまま、ずっとプレーを続けるのはけっこう厄介だった」
ブラジルW杯、ポルトガルはグループGの予選リーグで、ドイツ、アメリカに次いで3位(勝ち点はアメリカと同点)。惜しくも決勝トーナメント進出を逃した。
C. Ronaldo「後悔はない。ものごとは、なるようにしかならないわけだから。自分がリスクを冒していたことはわかっていた。『負傷してプレーできない。だからバカンスに行く』と言ったほうが、たぶんずっと簡単だったかもしれない。でも僕はそういう人間じゃない。僕には野心がある。だからポルトガルが、できる限り先に行けるように、全身全霊を捧げて貢献したかった」
じつは今回のバロンドール、ブラジルW杯で優勝したドイツのGK、ノイアー、そして準優勝したアルゼンチンのメッシの名前も挙がっていた。
C. Ronaldo「率直に言って今年は、ほかの2人の候補者、メッシとノイアーも堂々たる勝者だったと思う。W杯を制したノイアーは素晴らしいシーズンを送った。メッシは年の始めこそ難しかったけど、W杯ではとても良かった。誰が勝ってもおかしくなかった」
ロナウドとメッシは、常に競争関係にある。
C. Ronaldo「メッシが僕のモチベーションの一部をなしているのは間違いない。メッシはバロンドールを4度獲得し、僕は3回獲った。長年にわたって僕らはトップであり続けている。記録したゴールだけでも凄い数になる。誰も僕らには近づけない」
過去のバロンドール受賞歴
2014 1位 ロナウド 2位 メッシ
2013 1位 ロナウド 2位 メッシ
2012 1位 メッシ 2位 ロナウド
2011 1位 メッシ 2位 ロナウド
2010 1位 メッシ 2位 イニエスタ
2009 1位 メッシ 2位 ロナウド
2008 1位 ロナウド 2位 メッシ
2010年にロナウドは第一子、長男を授かっている。
C. Ronaldo「彼が生まれて僕は落ち着いたし、性格も少し穏やかになった。心理的に平静を保ち、感情を抑えられるようになったんだ。サッカーに関しては、違いはほとんどない。成功したい気持ちに変わりはないからね」
クリスティアーノ・ジュリオール、彼の息子の育つ環境はかなり特殊だ。
C. Ronaldo「大きな家と高級車を何台ももつ父親との暮らし...。簡単ではないけれど、彼には人生は複雑であることを分かってほしい。努力が必要だし、気高く、尊敬される人間になるべきだ、と」
ロナウドは現在、スペインの名門サッカークラブ「レアル・マドリー」に籍を置いている。
C. Ronaldo「レアルで言い訳は許されない。僕らは絶対に負けられないんだ。ひとたびピッチに立てば、どんなときでも優れたパフォーマンスを発揮しなければならない。世界最高のクラブでプレーするのは、そんな過剰なプレッシャーを背負うことでもある」
C. Ronaldo「レアルの一員として獲得すべきタイトルはたくさんある。リーガやCL、国王杯…。僕にとって最も重要なのは、チームのために貢献することだ。クラブは第二の家族で、勝利を求めて一つにつながるべきものだ」
ロナウドはリーガの得点王であるばかりか「アシスト王」でもある。
C. Ronaldo「僕は年ごとに進化している。将来、僕の最高のパフォーマンスが、得点ではなくアシストになるかも知れないと、誰が予測できるだろう。誰も一人では勝てない。利他主義こそが不可欠だ。だが、これまでの僕は、たぶん自分のことばかりを考えていた。今は違う。チームのために働ける選手になった」
C. Ronaldo「与える者にこそ与えられる、ということを僕もようやくわかった。僕は自分の役割を全うしたからこそ、(バロンドールを)獲得できたんだ」
C. Ronaldo「膨大な努力なくして物事はうまくいかない、と謙虚に理解すべきだ。僕を導いているのは『努力』だけだ。それがすべてさ」
(了)
ソース:Number(ナンバー)871号 ジャパンクライシス 日本サッカーはなぜ弱くなったのか? (Sports Graphic Number(スポーツ・グラフィック ナンバー))
クリスティアーノ・ロナウド「与える者にこそ与えられる」
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